レース71
最初は忌々しげに、後に愉悦をたたえて独白する男に、今度はジェスが詰問した。
「君が属する組は壊滅寸前になった、と言ったな。では、今は違うのか?」
「前より力は格段に落ちた。だが、おやっさんが帰ってきたからな……おやっさんさえいれば、組の再建だって難しくはねえ」
「……なるほど、出所してきたのか。それにしては随分早いな」
「森野って奴の力だ」
森野? とジェスは繰り返す。
「ああ。金を積んで、警察に働きかけてな。……何かしら、警察の弱味でも握ってんだろ。俺は知らねえが」
「……どうするよ? ……これじゃ警察はあてにならねえぞ?」
フランクは途方に暮れたように空を仰ぐ。
「今、彼等はどこにいるの?」
「亮前の大杉運送会社、そこの倉庫だ」
「そこで何をしているの?」
「シャブの取引だ。組の力を取り戻す為、森野を仲介役にして、パイプを作り直すんだ。今日は最初って事で、親分も直々に行っている……今日の深夜、やるらしい」
「……懲りない奴等だぜ!」
フランクは自分の手の平を打ち付ける。
「だが、これは絶好のチャンスだ。警察があてにならない以上、独力でどうにかするしかない。しかも今なら大沢だけじゃなく、森野とかいう奴も一緒に捕らえられる」
「ちょ、ちょっと待って下さい!」