ブルズ76
「んじゃあ、前にはオレが出るな。マナ、援護頼むぜ」
「それはいいんですけど……フランクさん、本当に銃弾に耐えられます?」
フランクは眼を細め、黒スーツ達を凝視。
「任せろ。見た所、ショットガンは持ってなさそうだしな。眼にさえ撃たれなければ、チクリと痛む程度だ」
「相手を倒す事より、自分の安全を優先して下さいよ」
わかってる、とフランクはマナを安心させようと巨大な口をパックリ開ける。
「だけど、マナがこういう事に首を突っ込むのは、意外だったな。去年はあんなに反対したのに」
「……状況が、違いますから」
普段のマナなら、こんな大事には関わろうとはしなかった。半年前の事件の時も、マナ自身は止めておこうと、他のメンバーを制止したほどだ。
今回、マナが積極的に打って出たのには、理由がある。すでに犠牲者が出たという事実と……自分の側に、幸一がいた事だ。
幸一が狙われた時、果たして防ぎ切れるか? 守りきれるか? 相手はいついかなる時でもその凶器を研ぎ、獲物を狙うのに対し、守勢に回りながら守りきれるか?
答えが否であった以上、マナには攻めに回る事しか出来なかった。
大きく深呼吸し、時計に眼を落とす。一時まで、十秒を切っている。
マナは眼を閉じ神経中枢を賦活させ、超音波を見張りがいる一帯目掛けて放つ。
「うん? なんだ……気持ち、悪い……」
ある者は眩暈でもするのか、頭を激しく振り、ある者は吐き気がするのか、苦しげに胸を掻き毟る。
不可視の超音波により、三半規管が一時的に揺さ振られた彼等は一様に乗り物酔いにも似た症状を現していた。
そこにフランクが遅い足取りでふらつく彼等に走り寄る。狙いは無線機を持っているリーダー格の男。突然現われたサイの異形にも関わらず、彼は懸命に懐の銃に手を伸ばす