レースカーテン

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バズ78

バズ78

『わかった。だが一分後だ。きっかり一分後、同時に突入する、いいね?』

「……無理はしないで下さいよ」

 了解、と通話は切れた。マナもすぐに携帯電話の電源を切り、ポケットに戻す。

 時計の針に眼を落とす。秒針が六十を刻むのは、こんなに早かっただろうか?

 六十秒後、月が暗雲に再び閉ざされた。

 一分の休憩時間では少々短かったかもしれない。だが時間をかければかけるほど、こちらの襲撃に気付かれる可能性が高まる。

「……その分は、僕がフォローする」

 影だけを残し高速機動するジェスは、傍目からは到底その存在には気付けまい。よしんぼ『何かが来る』と気付いた頃には、相手の懐に飛び込んでいる。

 ジェスは己の背中に視線をやる。羽根を使えば、一分程度ではあるが飛行が可能だ。地上を駆け回るより、速度も速い。だが、その分消耗が激しい。やはり、これを使うのは追い込まれた時だけにしておこう。

「……今度こそ、叩き潰してやる」

 磯辺とは、ほとんど言葉を交わした記憶が無い。何より、沙紀の次にあの神経質そうな青年は気にくわなかった。

 それでも、あの変わり果てた姿には同情した。彼は決して、ジェス達にとっては快い存在ではなかったが、磯辺にも、彼を大切に思う家族があり、自分達と同じように共に笑う友人もいたはずだ。

 それを、奴等は踏みにじった。……絶対に許すつもりはない。

 周囲を見渡す。辺りの壁にたてかけられた高さ五メートルはあろう角木材、それに隠れながらジェスは進む。運搬用にと梱包されたダンボール数百箱は、それを運ぶフォークリフトと共に右隅に高く高く積み重ねられていた。左手には三段ある、ジェスの背とほぼ同じ大きさの鉄の棚が壁と直角になるよう、数列並べられていた。そこにもダンボールが乗っており、そこだけちょっとした迷路に見えない事も無い。中央部はフォーリフトが動く事を考慮してか、機材も何も置かれていない。全体の広さは大体三百坪といった所か。

 遠目から見て、中央に、ざっと見積もって十人前後の人間が何やら話し合っているのをジェスは捉えた。

 叫びが聞こえてきた。怒声と、悲鳴が入り混じった叫び。

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