レースカーテン

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イズ80

イズ80

 やはり、何かがおかしい。疑問が確信に変わった時には、遅かった。

 四方を囲むように、四人の組員が擲弾発射機を肩に抱え持ち、こちらに向けている。彼等は皆、ゴーグルと生物戦で用いるようなマスクを装備していた。

 四人に放たれた弾丸がアスファルトに着弾すると、それは凄まじい音響と閃光を伴った。何故か爆発は無い。

 鋭い聴覚を持つジェスは、特殊閃光音響弾の轟音に耐え切れず、頭を抱えて地を転げ回る。マナはそれ以前にショックを受けて気絶したのか、その場に崩れ落ちた。

 光が止まない内に、鉄棚や角木材に身を隠していた組員二十名がフロアに踊り出た。銃を引き抜き、三人の中で唯一戦闘力を保持していたフランクに襲い掛かる。

「グガァァァ!」

 視界が閃光で閉ざされていたフランクには、何が起こったのか理解する事も出来なかっただろう。フランクの極太の手足は、無残にも無数の小さな穴が出来ていた。

 地に付し、悲鳴をあげもがくフランクを、音響が止み、意識が回復しはじめたジェスが眼を見張って呼びかける。

「フランク、フランク! しっかりしろっ!」

「いやいや、流石は泣く子も黙る大沢組。これほどまでに手際よく進められるとは」

 感心したように手を叩き、気の抜けた音をだしたのはジェスの知らない男だった。紺のスーツに黒ぶち眼鏡、そして手には無線機のような物体。しかしそれにしては、手元のそれを用いて誰かに話し掛ける様子は無い。ラジコンのコントローラーのように何やら操作を続けている。

 隣りにいる男には見覚えがある。藍色の和服に袖を通した初老の男は、険しい目付きでこちらを睨み、大股で歩み寄ってきた。

「……こんな化物共にしてやられたとはな。反吐が出る!」

 大沢の爪先が、大音響の後遺症で未だ動けぬジェスの腹にめり込んだ。二発、三発、四発……十回ほど蹴り終えた所で、大沢は肩を上下させながら、隣りに控えていた男に打って変わった柔らかな物腰で話し掛けた。

「森野の先生、ありがとうございやした。先生がブツを用意してくれなければ、どうなっていたやら」

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